【はじめに】
「シャツに腕を通すときや、服を脱ぐときに肩が痛くてたまらない」 「腕を上や後ろに回そうとすると引っかかるけれど、じっと動かさなければ痛くない」
このような肩の痛みや動きづらさに悩まされていませんか? 「動かさなければ痛くないから大丈夫」と放置してしまう方は少なくありません。しかし、これは炎症のピークを過ぎて関節を包む袋が硬く縮んでしまう「五十肩(拘縮期)」や、筋が切れてしまっている「腱板断裂(けんばんだんれつ)」、力こぶの腱が擦れる「上腕二頭筋長頭腱炎」などのサインである可能性があります。
放置すると関節が固まって腕がさらに上がらなくなり、日常生活に大きな支障をきたします。この記事では、動かしたときだけ痛む原因、考えられる病気の見分け方、当院での治療法について常時整形疾患の診察を行っている総合診療医の立場で分かりやすく解説します。
【目次】
1. 新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様へ
「服の脱ぎ着やエプロンの紐を結ぶ動作がつらい」「つり革につかまれない」など、肩の痛みに関するご相談を、新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田エリアにお住まい・お勤めの皆様から数多くいただきます。
肩関節は人間の体の中で最も動く範囲が広い関節である一方、構造が非常に繊細で、一度動きが悪くなると自然には治りにくい特徴があります。「年齢のせいだから放っておけば治る」と自己判断せず、痛みが慢性化する前に適切な処置を受けることが早期回復への近道です。
2. 肩が上がらなくて服を着るのが大変な理由(拘縮と可動域制限)
服を着脱するときは、「腕を横に広げる」「腕をひねる」「背中に手を回す」といった複雑な動作が同時に求められます。
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関節包の癒着(拘縮:こうしゅく) 肩関節を包んでいる袋(関節包)が炎症によって厚く硬くなり、縮んで関節に張り付いてしまうと、腕の可動域が物理的に狭くなります。
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「動かさなければ痛くない」理由 炎症が最も強い初期(急性期)には「ズキズキして夜も眠れない」という安静時痛がありますが、時期が進むと安静時の痛みは引いていきます。その代わり、癒着した関節や腱が引っ張られる「特定の動き(服の着脱や高い所の物を取る動作)」でのみ鋭い痛みが走るようになります。
3. 考えられる主な原因疾患(五十肩・腱板断裂・石灰沈着性腱炎・上腕二頭筋長頭腱炎)
動かしたときに肩が上がらない場合、主に以下の疾患が疑われます。
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五十肩(肩関節周囲炎)
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40〜60代に好発し、関節包や周囲の腱に慢性的な炎症と癒着が起きる病気です。
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自力でも、他人に腕を持ち上げてもらっても、どちらでも肩が一定の角度以上上がらない(全方向への可動域制限)のが特徴です。
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特に糖尿病をお持ちの方は、コラーゲンの糖化により五十肩を発症しやすく、治りにくい傾向があります。
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腱板断裂(けんばんだんれつ)
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肩の深層にあるインナーマッスル(腱板)がすり減って切れてしまう病気です。転倒などのけがだけでなく、加齢によって自然に切れることも多くあります。
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「自力では腕が上がらないが、反対の手で支えたり人に持ち上げてもらうと上まで上がる」という特徴があります。
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上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
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力こぶの筋肉から肩関節へと伸びる腱が、骨の溝で擦れて炎症を起こす病気です。
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腕を前に上げたり、服の袖に腕を通す動作で、肩の前側から腕にかけてズキッとした鋭い痛みが走ります。
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石灰沈着性腱炎(慢性期)
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腱の中にカルシウム(石灰)が沈着する病気です。激痛のピークが過ぎた後も、沈着した石灰が周囲と擦れて腕を上げるときに引っかかりや痛みを生じます。
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4. 「動かさなければ痛くない」ときの注意点と受診の目安
「じっとしていれば平気だから」と腕を使わずに安静にしすぎると、関節の癒着がさらに進み、肩が完全に固まってしまう「凍結肩(フローズンショルダー)」へと進行してしまいます。
以下のようなサインがある場合は、早めに医療機関をご受診ください。
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腕を前から上げても、横から上げても水平(90度)より上に上がらない
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エプロンの紐を結ぶ動作や、背中のファスナーを上げる動作ができない
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髪を洗うときや、ドライヤーをかけるときに肩が痛む
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腕を上げようとすると、肩だけでなく体全体を傾けてしまう
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反対の手で支えても腕を持ち上げられない、途中で腕がガクンと落ちる
5. 当院(西北診療所)での鑑別診断と治療法(エコー・注射・内科連携)
当院では、五十肩なのか、腱板断裂や上腕二頭筋長頭腱炎なのかを的確に見極め、痛みを速やかに緩和して動かせるようにする初期治療を行っております。
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超音波検査(肩エコー)による精密な観察 エコーを用いて、レントゲンには写らない「腱板の断裂の有無」「肩峰下滑液包の炎症」「上腕二頭筋長頭腱の炎症・水腫」「関節液の溜まり具合」をリアルタイムで確認します。
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エコーガイド下での安全な注射治療
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ヒアルロン酸注射: 関節包や滑液包の滑りを良くし、腕を動かしたときの摩擦や引っかかりを改善します。
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ステロイド注射: 炎症が強く痛みが引かない部位に対し、エコーで見ながらピンポイントで注入して炎症を鎮めます。
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肩レントゲン検査 骨の変形や骨棘、石灰の沈着がないかを迅速に撮影・診断します。
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全身管理と高度医療機関連携 五十肩の悪化要因となる糖尿病や高血圧のコントロールを腎臓内科専門医・総合内科専門医として同時に行います。完全断裂などで手術やMRI精密検査が必要な場合は、提携する専門医療機関(整形外科・肩関節専門外来)へ迅速にご紹介いたします。
痛みが落ち着いてきたら、以下の体操を「お風呂上がりなどの体が温まっている時間帯」に、1日1〜2回を目安に行ってみましょう。 ※すべて「痛気持ちいい(強い痛みが出ない)」範囲で行うのが鉄則です。
① コッドマン体操(振り子運動)
肩の力を完全に抜き、関節の隙間を広げる最も安全な基本運動です。
痛くない方の手で机や椅子の背もたれを支え、体を前かがみにします。
痛む方の腕の力を完全に抜き、だらりと下に垂らします。
体を前後に軽く揺らす反動を使って、垂らした腕を「前後」「左右」「円を描くように」小さく揺らします(腕の力で回すのではなく、体の揺れで腕をブラブラさせるイメージです)。
各方向10〜15回程度行います。
② テーブルスライド運動(机拭きストレッチ)
腕の重みを感じずに、肩を前や斜め上に伸ばす運動です。
椅子に腰掛け、目の前のテーブルにタオルを置き、痛む方の手をタオルに乗せます。
上半身をゆっくり前に倒しながら、タオルを前方に滑らせていきます。
脇の下や肩の後ろが心地よく伸びたところで5〜10秒キープし、ゆっくり元の姿勢に戻します。
5回程度繰り返します。
③ タオルを使った背中ストレッチ
服の着脱やエプロンの紐を結ぶ動作(背中に手を回す動き)を改善する運動です。
タオルの両端を両手で持ち、背中の後ろに回します。
上の手(痛くない健康な手)でタオルを上へゆっくり引き上げ、下にある痛む方の手を引っ張り上げます。
無理のない高さまで上がったら5秒キープし、ゆっくり戻します。
5回程度行います。
④ 肩甲骨ほぐし運動
肩関節だけでなく、土台となる肩甲骨の動きをスムーズにする運動です。
背筋を伸ばし、両肩をすくめるようにギューッと耳に近づけます(3秒キープ)。
一気に力を抜いて肩をストンと落とします。
次に、左右の肩甲骨を背中の中央でギュッと寄せるように胸を開き、ゆっくり脱力します。
5〜10回繰り返します。
☠ やってはいけないNGな動かし方・運動☠
良かれと思って行った運動が、かえって肩の腱を傷つけてしまうことがあります。
痛みを我慢して無理やり強く引っ張る 「痛いほど効く」というのは大きな誤解です。強い痛みを感じるほど動かすと、せっかく治まりかけた炎症が再燃してしまいます。
重いダンベルなどを持った筋トレ 関節が硬くなっている時期に負荷をかける筋トレを行うと、インナーマッスル(腱板)に過度な負担がかかり、腱板断裂を引き起こす危険があります。
痛いからといって三角巾などで完全に固定し続ける 長期間全く動かさないでいると、関節がそのまま固まって「凍結肩」になってしまいます。
7. 受診方法・予約方法について
当院では、患者様がご都合に合わせてスムーズに受診していただけるよう、以下の体制をとっております。
① 予約なし(一般診療・慢性疾患・肩の痛みの初期診療)
事前予約なしで直接ご来院いただけます。
受付順に番号の記載された「ナンバープレート」をお渡しし、順次ご案内いたします。お薬手帳をお持ちの方はご持参ください。
② WEB予約
現在準備中であり、今年度内での運用開始を予定しております。 運用が始まりましたら、院内掲示およびホームページにてお知らせいたします。
8. 監修者情報
監修:西北診療所 院長 羽田野 実 (日本内科学会認定 総合内科専門医 / 日本腎臓学会認定 腎臓専門医) 👉 院長プロフィール・監修者情報はこちら
