【お答え】
「駅や歩道橋の階段を下りるとき、膝の外側がズキッと痛む」 「最初は外側だけだったのに、最近は階段を上るときに内側まで痛くなってきた」
このような膝の痛みの変化に悩まされていませんか? 階段の上り下りでは、平地を歩くときの3〜4倍以上もの体重負荷が膝にかかります。最初は太もも外側の靭帯や筋肉の張りから始まっても、痛みをかばって歩き続けるうちに、膝関節の内側の軟骨や靭帯(鵞足部など)にまで過度な負担が広がり、「変形性膝関節症(OA)」や「鵞足炎」などの関節トラブルへ進行しているケースが多く見られます。
放置すると正座ができなくなったり、平地を歩くだけでも痛んだりする恐れがあります。この記事では、膝の外側から内側へと痛みが広がる原因、見逃してはいけない危険なサイン、受診の目安について分かりやすく解説します。
【目次】
1.新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様へ
「坂道の上り下りで膝が痛くて手すりが手放せなくなった」「痛くて正座できない」といったご相談を皆様から多くいただきます。
膝の痛みは、「加齢のせいだから仕方がない」「湿布を貼って様子を見よう」と先送りにされがちです。しかし、痛む場所が外側から内側へと広がっているのは、膝のバランスが崩れて関節軟骨や周囲の腱組織へのダメージが進んでいるサインです。早い段階で原因を見極め、適切な処置を行うことが将来も元気に歩き続けるための鍵となります。
2.階段の上り下りで膝の外側・内側が痛む理由(痛みが広がる仕組み)
階段の上り下りでは、膝の曲げ伸ばしと強い衝撃吸収が同時に行われるため、小さな異常でも強い痛みとして現れます。
- 階段を「下りる」ときの外側の痛み 下りるときは、太ももの外側にある靭帯(腸脛靭帯)が膝の骨と擦れやすく、強いブレーキ動作で外側に大きなストレスがかかります。
- 痛みをかばうことで「内側」へ負担が集中 外側の痛みを避けるために不自然な足のつき方を続けると、日本人に多い「内側荷重」がさらに強まります。その結果、膝の内側にある関節軟骨がすり減ったり、内側の筋肉の付着部(鵞足)に強い摩擦が生じたりして、階段を「上る」ときにも内側に強い痛みが出るようになります。
このように、「外側の使いすぎや炎症」をかばうことで「内側の関節軟骨の摩耗や腱の炎症」を誘発する悪循環に陥っているケースが非常に多いのです。
3.考えられる主な原因疾患(変形性膝関節症・腸脛靭帯炎・半月板損傷・鵞足炎)
膝の外側から内側へ痛みが広がる場合、主に以下の疾患が考えられます。
- 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう:膝OA)
- 加齢や長年の負担によって関節軟骨がすり減る病気です。
- 徐々に内側の関節の隙間が狭くなり、「立ち上がり時」や「階段昇降時」に内側が強く痛みます。
- 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん:ランナー膝)
- 太ももの外側を通る靭帯が、膝の外側の骨と擦れることで炎症を起こします。階段を下りるときに外側がズキズキ痛むのが特徴です。
- 鵞足炎(がそくえん)
- 膝の内側やや下方(脛骨の内側)にある、複数の筋肉の腱が集まる部位(鵞足)に炎症が起きる病気です。
- 外側の痛みをかばって歩いたり、階段を上り下りしたりするときに、膝の内側にズキッとした鋭い痛みが生じます。
- 半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
- 膝のクッションである軟骨(半月板)に亀裂や断裂が入る病気です。階段の踏み込みや方向転換の際に引っかかるような痛みが生じます。
- 膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)
- 膝のお皿(膝蓋骨)の裏側の軟骨がすり減る病気で、階段の上り下りでお皿の周囲が重だるく痛みます。
4.「ただの疲れ」と放置してはいけない危険なサイン(受診の目安)
以下のような症状がある場合は、関節内で強い炎症が起きていたり、重い損傷が疑われるため、早めに医療機関を受診してください。
- 膝が腫れて熱をもっている、膝に水(関節液)が溜まっている
- 膝が引っかかって曲がらない・伸びない(ロッキング現象)
- 歩いているときに膝がガクンと抜ける感覚がある(ギビングウェイ)
- 階段だけでなく、平地を歩くときや夜寝ているときもズキズキ痛む
- 痛む方の足を引きずらないと歩けない
5.日常生活でできる負担軽減法とやってはいけないNG行動
膝の軟骨や靭帯への負担を減らすために、日頃の動作を見直しましょう。
- 【やっていいこと】
- 階段では手すりを使う: 下りるときは「痛む足」から、上るときは「痛くない健康な足」から一段ずつ進むと負担を軽減できます。
- 太ももの前(大腿四頭筋)の筋力維持: 椅子に座ったまま膝を伸ばして5秒キープするなど、関節に体重をかけない運動を行います。
- クッション性の高い靴を選ぶ: 底の薄い靴やヒールを避け、衝撃を吸収するインソールを活用します。
- 【やってはいけないNG行動】
- 痛みを我慢して激しいスクワットやウォーキングを続ける
- 正座やあぐら、深いしゃがみ込み姿勢(膝関節に強い圧力がかかります)
- 重い荷物を持ったまま階段を駆け下りる
6.当院(西北診療所)での鑑別診断と初期対応
膝の痛みは、変形や靭帯炎だけでなく、まれに内科的な関節炎(痛風・偽痛風、関節リウマチ、化膿性関節炎など)が隠れていることもあります。
当院では、総合内科専門医の視点から、以下のような安心の初期診療を行っております。
- 超音波(エコー)検査による評価と安全な関節穿刺
- エコーを用いて関節腔内の関節液(水)の貯留や、腱・靭帯の炎症状態をリアルタイムで確認します。
- 膝に水が溜まって強い圧迫感や痛みがある場合、エコーを見ながら安全に関節穿刺(水を抜く処置)を行い、関節の負担を速やかに軽減します。
- 転倒や打撲による靱帯損傷や半月板損傷に関してもエコーにて確認を行います。
- 症状・疾患に応じた的確な処置と薬物療法
- 変形性膝関節症(OA)の場合: 関節の滑りを良くし軟骨を保護する「ヒアルロン酸注射」や、痛みを抑える鎮痛剤(内服・外用薬)を組み合わせて日常生活の動作を改善します。
- 鵞足炎の場合: 強い炎症がある部位にステロイド投与(局所注射)や鎮痛剤の処方を行い、つらい炎症と痛みを速やかに鎮めます。
- 膝レントゲン・血液検査による鑑別
- レントゲンで骨の変形やすき間の狭小化を確認し、必要に応じて血液検査や関節液を調べることで、化膿性関節炎や痛風・偽痛風などの炎症性疾患を除外します。
- 高度専門医療機関との連携
- 半月板断裂や重度の変形があり、MRI精密検査や手術が必要と判断される場合は、提携する高度専門医療機関(整形外科・関節外科)へ速やかにご紹介いたします。
7.受診方法・予約方法について
当院では、患者様がご都合に合わせてスムーズに受診していただけるよう、以下の体制をとっております。
- ① 予約なし(一般内科・慢性疾患・膝痛の初期診療)
- 事前予約なしで直接ご来院いただけます。
- 受付順に番号の記載された「ナンバープレート」をお渡しし、順次ご案内いたします。お薬手帳をお持ちの方はご持参ください。
- ② WEB予約
- 現在準備中であり、今年度内での運用開始を予定しております。 運用が始まりましたら、院内掲示およびホームページにてお知らせいたします。
8.監修者情報
監修:西北診療所 院長 羽田野 実 (日本内科学会認定 総合内科専門医 / 日本腎臓学会認定 腎臓専門医)
