【はじめに】
「最近、じっとしていても動悸がして、汗をかきやすく、食べているのに体重が減ってきた」
「とにかくだるくて、顔や足がむくむ。寒がりになり、気分も落ち込みがち」
このようなお悩みはありませんか?これらは、のどぼとけの下にある甲状腺のホルモンが多すぎる、または少なすぎるときに出やすい症状です。バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や橋本病(慢性甲状腺炎)による甲状腺機能低下症の可能性があります。
甲状腺の病気は「疲れ」「更年期」「年のせい」と思われて見過ごされやすい一方、放置すると不整脈(心房細動)や心不全、骨粗しょう症、脂質異常症などにつながることがあります。血液検査で診断がつくことが多い病気です。この記事では、総合診療医の立場で、症状のサイン・受診の目安・治療法を分かりやすく解説します。
【目次】
1.新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様へ
西北診療所は、新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様の「かかりつけ医」として、幅広い内科の診療を行っています。
「どこが悪いのかわからないけれど調子が悪い」という症状の中に、甲状腺の病気が隠れていることは少なくありません。当院では、問診と血液検査、首のエコー(超音波検査)を組み合わせて甲状腺の状態を確認し、心臓・血圧・コレステロールなど全身への影響もあわせて診ます。
2.甲状腺とは?ホルモンが「多すぎる」「少なすぎる」と何が起こるか
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある蝶のような形の臓器で、体の代謝(エネルギーの使い方)を調整する甲状腺ホルモンをつくっています。いわば「体のアクセル」のような役割です。
ホルモンが多すぎる(甲状腺機能亢進症)
アクセルを踏み続けた状態です。代表的な病気はバセドウ病で、20〜40代の女性に多くみられます。
- 動悸、脈が速い、息切れ
- 暑がり、汗をかきやすい
- 食べているのに体重が減る
- 手のふるえ、イライラ、眠れない
- 目が出てくる、まぶたが腫れる(バセドウ病の一部)
ホルモンが少なすぎる(甲状腺機能低下症)
アクセルが弱まった状態です。代表的な病気は橋本病(慢性甲状腺炎)で、中高年の女性に多くみられます。
- だるさ、眠気、やる気が出ない
- 寒がり、皮膚の乾燥
- 顔や足のむくみ、体重の増加
- 便秘、声がかすれる
- 物忘れ、気分の落ち込み
首のしこり(甲状腺の結節)
健診や触診で「首にしこりがある」と言われることもあります。多くは良性ですが、エコーで大きさや形を確認し、必要に応じて専門医療機関で詳しい検査を行います。
3.放置するとどうなる?(心臓・骨・コレステロールへの影響)
甲状腺ホルモンは全身に作用するため、治療せずに放置すると次のような影響が出ることがあります。
「コレステロールが急に高くなった」「物忘れが増えた」という方の中に、甲状腺機能低下症が見つかることもあります。
4.受診の目安とセルフチェック
次のような症状が2週間以上続く場合は、一度ご相談ください。
- 安静にしていても動悸がする、脈が速い
- 食事量は変わらないのに体重が減る、または増える
- 以前より暑がり(汗かき)、または寒がりになった
- だるさや眠気が続き、むくみが出てきた
- 首の前が腫れている、しこりに触れる
- 健診でコレステロールや肝機能の値が急に変わった
すぐに受診(当日中)が必要なサイン
- 抗甲状腺薬を飲んでいて、38℃以上の発熱やのどの強い痛みが出た(白血球が減る副作用の可能性があります。お薬を一度中止してご連絡ください)
- 激しい動悸や息苦しさ、意識がもうろうとする
☠ やってはいけないNGな自己判断 ☠
- 「海藻(昆布)は甲状腺に良い」と、昆布やサプリメントを大量にとる(ヨウ素のとりすぎは、かえって甲状腺の働きを乱すことがあります)
- 症状が良くなったからと、甲状腺のお薬を自己判断で中止する
5.当院(西北診療所)での診断と治療法(血液検査・甲状腺エコー・専門医療機関との連携)
診断
- 血液検査:甲状腺ホルモン(FT4・FT3)と、ホルモンの量を調整する脳からの指令(TSH)を測定します。必要に応じて、バセドウ病や橋本病の原因となる抗体も調べます。
- 甲状腺エコー(表在エコー):甲状腺の大きさ、内部の様子、血流、しこりの有無を、痛みなくその場で確認します。
- 心電図:動悸がある方は、脈の乱れ(心房細動など)がないかを確認します。
治療
- バセドウ病:ホルモンを抑える内服薬(抗甲状腺薬)で治療します。飲み始めの数か月は、副作用(白血球の減少・肝機能障害・発疹)を確認するため、定期的に血液検査を行います。動悸が強い方には、脈を落ち着かせるお薬を併用します。
- 甲状腺機能低下症:不足しているホルモンを補う内服薬で治療します。少量から始め、血液検査を見ながら量を調整します。
- 全身の管理:甲状腺の病気に伴うコレステロール・血圧・心臓・骨への影響も、総合内科専門医としてあわせて管理します。
専門医療機関へのご紹介
しこりの精密検査(細胞の検査)が必要な場合、放射性ヨウ素治療や手術を検討する場合、妊娠中・妊娠を希望される場合などは、甲状腺の専門医療機関へご紹介し、連携して診療を続けます。
6.よくある質問(FAQ)
Q1. 甲状腺の病気は遺伝しますか?
A. ご家族に甲状腺の病気がある方は、なりやすい傾向があります。ただし、必ず発症するわけではありません。気になる症状があれば、血液検査で確認しましょう。
Q2. お薬は一生飲み続けるのですか?
A. バセドウ病は、数年の治療で薬をやめられる方もいます。橋本病による機能低下症は、ホルモンを補うお薬を長く続けることが多いですが、適量であれば副作用はほとんどありません。
Q3. 血液検査の結果はいつわかりますか?
A. 甲状腺ホルモンの検査は外部の検査機関で測定するため、結果は後日のご説明になります。動悸などの症状が強い場合は、当日に心電図などで状態を確認します。
7.まとめ:危険な症状と高度医療機関への連携
動悸、体重の変化、だるさ、むくみ、寒がり・暑がりなどの症状は、甲状腺の病気のサインかもしれません。血液検査とエコーで診断できることが多いため、「年のせい」と決めつけずにご相談ください。激しい動悸や意識がもうろうとする場合、治療中の発熱・のどの痛みがある場合は、すぐにご連絡ください。必要に応じて、専門医療機関・急性期病院と連携して対応します。
8.受診方法・予約方法について
当院では、患者様がご都合に合わせてスムーズに受診していただけるよう、以下の体制をとっております。
- ① 予約なし
- 直接ご来院いただけます。
- 受付順に順番の記載された「ナンバープレート」をお渡しし、番号順にご案内いたします。お薬手帳や、健診結果をお持ちの方はご持参ください。
- ② WEB予約
- 現在準備中であり、今年度内での運用開始を予定しております。開始となりましたら、院内掲示およびホームページにてお知らせいたします。
受診のご案内(西北診療所)
ご予約なしでも受診いただけます(受付順)。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜12:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
| 14:30〜18:00 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - |
△土曜は9:00〜12:00/受付は診療終了の15分前まで
休診日:第5土曜日・日曜日・祝日
※発熱のある方は、来院前にお電話ください(専用の隔離室へご案内します)。
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田3-12-4(JR高田馬場駅・東京メトロ副都心線 西早稲田駅)
▶ アクセス・地図はこちら ▶ 診療日カレンダー
9.監修者情報
監修:西北診療所 院長 羽田野 実
(日本内科学会認定 総合内科専門医 / 日本腎臓学会認定 腎臓専門医)