熱中症の症状・対策と「感染症との見分け方」|急激な腎機能低下に注意!

 

新宿区・高田馬場・早稲田の地域の皆様へ

夏の暑さが本格化すると、当院周辺のエリアでも急増するのが「熱中症」です。単なる暑さによる体調不良と軽く考えがちですが、放置すると命に関わる重大な合併症を引き起こすことがあります。

特に高齢の方や、慢性腎不全(まんせいじんふぜん:腎臓の働きが慢性的に低下している状態)などの持病をお持ちの方は、「急激な腎機能障害」を併発しやすいため極めて注意が必要です。また、初期症状が風邪や新型コロナなどの感染症と酷似しているため、正しい鑑別と早期対応が重要になります。

本記事では、総合内科・腎臓専門医の視点から、熱中症の基本知識、見落としてはならない症状、そして受診の目安について分かりやすく解説します。

【目次】

  1. 熱中症とは?

  2. 熱中症の主な症状と重症度

  3. 日常でできる効果的な熱中症対策【おすすめの食事・ドリンク】

  4. 熱中症と間違いやすい「感染症」に注意!

  5. 【専門医が警告】注意すべき熱中症の合併症

  6. 病院を受診すべきタイミング(救急車を呼ぶ基準)

  7. 医療機関での治療法

  8. 当院からのメッセージ

1. 熱中症とは?

熱中症とは、高温多湿な環境に体が適応できず、体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能が正常に働かなくなったりして起こる障害の総称です。屋外だけでなく室内でも発症し、全身の臓器に深刻なダメージを与える危険性があります。

2. 熱中症の主な症状と重症度

熱中症は進行度によって以下の3段階に分けられます。

  • Ⅰ度(軽症):めまい、立ちくらみ、こむら返り(足の筋肉のつり)、大量の汗

  • Ⅱ度(中等症):強い頭痛、吐き気・嘔吐、全身の強い倦怠感(けんたいかん:体がだるい状態)※医療機関の受診が必要です。

  • Ⅲ度(重症):意識障害(受け答えがおかしい)、けいれん、呼びかけへの反応がない ※至急、救急搬送(119番)が必要です

3. 日常でできる効果的な熱中症対策

  • おすすめのドリンク(こまめな水分・塩分補給)

    • 普段の水分補給:ミネラルを含み、利尿作用のない(ノンカフェインの)「麦茶」が最適です。1日1.2〜1.5リットルを目安にこまめに飲みましょう。

    • 大量に汗をかいた時:水分と電解質が素早く吸収される「経口補水液」を活用してください。

    • 暑さに強い体づくりに:夕方などの涼しい時間帯にウォーキング等の軽い運動をし、その直後に「コップ1杯の牛乳」を飲むと、血液量が増えて暑さに強い体(暑熱順化)をつくる効果が期待できます。

  • 熱中症をはね返す「おすすめの食事」

    • お味噌汁:水分、塩分、アミノ酸がバランス良く含まれており、朝の1杯が1日の脱水予防に非常に効果的です。

    • 夏野菜(トマト、きゅうり、ナスなど):水分が多く含まれており、体の熱を逃がす効果があります。

    • 豚肉や梅干し:豚肉に含まれるビタミンB1や、梅干しのクエン酸は、夏の疲労回復を強力にサポートします。

  • 【腎臓専門医からの警告】持病がある方の注意点

    • 一般的に夏バテに良いとされる「夏野菜」や「果物」にはカリウムが多く含まれています。慢性腎不全(CKD)の方は、カリウムをうまく尿に排出できず、不整脈など命に関わる危険(高カリウム血症)につながる恐れがあります。

    • また、スポーツドリンクの飲みすぎは、糖尿病や腎疾患を悪化させるリスクがあります。水分や食事制限の指示を受けている方は、自己判断せず、必ず事前に医師へご相談ください。

  • 適切な室温管理

    • エアコンをためらわずに使用し、室温28℃以下、湿度60%以下を保ちましょう。

  • 暑熱順化(しょねつじゅんか):本格的な夏を迎える前に、適度な運動や入浴で汗をかく習慣をつけ、暑さに体を慣らしておきましょう。

4. 熱中症と間違いやすい「感染症」に注意!

「だるい」「熱っぽい」といった症状が出た際、熱中症と思い込んでいたら実は感染症だったというケースが少なくありません。

  • 新型コロナウイルス・インフルエンザ・夏風邪など:発熱や頭痛など、初期症状が熱中症と酷似しています。

  • 高齢者の肺炎・尿路感染症(尿の通り道に細菌が感染する病気):高齢者は目立った高熱が出ず、「だるさ」や「意識がぼんやりする」という症状だけで進行することがあります。

  • 見分けるポイント:涼しい部屋で休息し、水分補給をしても発熱やだるさが改善しない場合は、感染症を疑い医療機関を受診してください。

5. 【専門医が警告】注意すべき熱中症の合併症

熱中症は単なる「脱水」にとどまりません。特に注意すべきなのが腎臓へのダメージです。

  • 急激な腎機能障害(AKI:急性腎障害):脱水によって腎臓への血流が低下すると、短時間で急激に腎機能が低下します。特に高齢の方や慢性腎不全(CKD)の持病がある方は、一気に腎不全が進行し、透析(とうせき:人工的に血液を浄化する治療)が必要になるなど、生命の危険に直面することがあります。

  • 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう):高熱や脱水で筋肉の細胞が破壊され、その成分が血液中に流れ出ることで、腎臓のフィルターを詰まらせ劇的な腎不全を引き起こす危険な状態です。

6. 病院を受診すべきタイミング(救急車を呼ぶ基準)

  • すぐに救急車(119番)を呼ぶべき状況:意識がない、自力で水分が飲めない、全身のけいれんがある場合。

  • 当院(クリニック)を受診すべき状況:涼しい場所で休んでも頭痛や吐き気が治まらない、水分は摂れるがだるさが強い、高齢者や持病(腎臓病・心臓病など)があり普段と様子が違う場合。

7. 医療機関での治療法

当院では、状態に応じて迅速な医学的介入を行います。

  • 急速点滴療法(輸液):口から水分が摂れない場合や中等症以上の脱水に対し、点滴を行って迅速に血流を回復させます。

  • 採血・尿検査・超音波検査(エコー):腎機能の数値や炎症反応を確認し、急性腎障害や感染症の併発がないかを診断します。超音波検査を用いて、体内の水分量(脱水状態)を的確に評価することも可能です。

8. 当院からのメッセージ

熱中症は、予防と早期対応で防げる病気です。しかし、「たかが脱水」と軽視すると、腎不全をはじめとする重大な合併症を引き起こす恐れがあります。

当院は、総合内科・腎臓専門医としての専門性を最大限に活かし、新宿区・高田馬場・早稲田の地域の皆様の健康を第一に守る「かかりつけ医」でありたいと考えております。単なる熱中症の処置にとどまらず、腎機能のチェックや感染症との適切な鑑別を迅速に行います。「何かおかしいな」と感じたら、我慢せずに早めにご相談ください。

監修: 西北診療所 院長 羽田野 実(総合内科専門医・腎臓専門医)

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