腎機能障害は大きく分けて2つあり、

急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)に分かれます。

 

①急性腎障害(AKI=Acute kidney Injury)とは

急性腎障害とは、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態のことを指します。

尿から老廃物を排泄できなくなると、体内の水分量や塩分量など(体液)を調節することができなくなります。

以前は急性腎不全と呼ばれていましたが、早期発見と国際的に共通にするとの観点から急性腎障害と呼ばれるようになりました。

症状としては、尿量減少(尿量が減少しない場合もあります)、むくみ(浮腫)、食欲低下、全身倦怠感などが認められます。

原因として、

(腎前性)脱水や出血により腎臓への血流が低下すること

(腎性)腎臓の炎症や尿細管細胞の障害などにより腎機能が低下すること

(腎後性)尿管結石や尿管癌などによる尿路系の閉塞

といった3つを鑑別する必要があります。

治療について

治療としては、早急に原因検索をし、原疾患に対して治療を行うとともに、尿毒症(腎毒性物質の貯留により、嘔気、倦怠感などが出現すること)や電解質失調、心不全の程度によっては、一時的に透析治療などで体のバランスを整える必要があります。

腎機能の回復は、原疾患や合併症の状況によって異なり、慢性腎臓病や末期腎不全に移行する場合も多くありますので、早期発見と早期治療がとても大事になります。

 

②慢性腎臓病(CKD)とは

【目次】

  1. 新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様へ

  2. 「痛くないから様子見」が人工透析を招く理由(沈黙の臓器と心腎連関の罠)

  3. 慢性腎臓病(CKD)の定義と重症度分類(eGFRと蛋白尿のCGA分類)

  4. 当院(西北診療所)での精密検査と腎保護治療(シスタチンC・尿沈渣・腎エコーRI測定・SGLT2阻害薬)

  5. よくある質問(FAQ)

  6. まとめ:危険な症状と当院の対応(高度医療機関連携)

  7. 受診方法・予約方法について

  8. 監修者情報

1. 新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田の地域の皆様へ

「健康診断でクレアチニンが高く、eGFRが50台に下がっていて『要精密検査』と言われた」 「尿検査で『蛋白(1+)』が出たが、どこも痛くないので病院に行くべきか迷っている」 「糖尿病や高血圧の持病があり、将来人工透析にならないか不安だ」

新宿区・高田馬場・西早稲田・早稲田エリアにお住まいの皆様や近隣でお勤めの皆様から、このような腎機能の数値異常や慢性腎臓病(CKD)についてのご相談を非常に多くいただきます。

慢性腎臓病(CKD)は、現在日本国内に約1,330万人(成人のおよそ8人に1人)の患者様がいると推定されている「新たな国民病」です。腎臓は一度壊れてしまうと元の状態に戻すことが非常に難しい臓器ですが、「早期に発見し、適切な治療を開始できれば、進行を食い止め、透析を回避できる時代」になっています。健康診断でわずかでも異常を指摘された段階こそが、腎臓を守る最大のチャンスです。西北診療所では地域のかかりつけ医・腎臓専門医として、腎臓の寿命を延ばす安心の専門診療を提供しております。

2. 「痛くないから様子見」が人工透析を招く理由(沈黙の臓器と心腎連関の罠)

「自覚症状がないから大丈夫」と放置してしまうことが、不可逆的な末期腎不全を招く最大の落とし穴です。

当院での専門的なアプローチ

  • 自覚症状が出る頃には「腎機能障害がかなり進んでいる」という事が多い  腎臓には痛みの神経がほとんどないため、機能が半分以下に落ちても痛みやだるさなどの症状は現れません。足のむくみ、息切れ、強い疲労感、貧血といった症状が出た時には、すでに人工透析が目前に迫っているケースが少なくありません。無症状のうちに血液検査や尿検査で察知することが必須です。

  • 心不全や脳卒中を引き起こす「心腎連関(しんじんれんかん)」の阻止  腎臓の機能が低下すると、体内に余分な塩分や水分、老廃物が溜まり、血圧が上昇して全身の動脈硬化が急激に進みます。その結果、CKDの患者様は健康な人と比べて「心筋梗塞」「心不全」「脳卒中」を発症するリスクが数倍に跳ね上がります。腎臓を守ることは、命を守ることに直結します。

  • 専門医による「真の腎機能」と「進行リスク」の見極め 一般的な健診で行われる「クレアチニン値」だけでは見落とされやすい隠れ腎不全を、高精度マーカー「シスタチンC」や尿検査で見つけ出します。

3. 慢性腎臓病(CKD)の定義と重症度分類(eGFRと蛋白尿のCGA分類)

慢性腎臓病(CKD)は、以下の①、②のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いている状態と定義されます。

  1. 尿異常(特に蛋白尿・微量アルブミン尿)、画像診断、血液検査などで明らかな腎障害がある

  2. 糸球体濾過量(eGFR)が 60 mL/分/1.73m² 未満に低下している

CKDの3大原因疾患

  • 糖尿病性腎症: 糖尿病による高血糖が毛細血管を傷つけることで、一般的には大量の蛋白尿を認め、徐々に腎障害が進行する(新規透析導入原因の第1位)。

  • 腎硬化症: 高血圧によって腎臓の血管が硬く狭くなり、腎臓に流入する血液量が減ることで腎障害が進行する。一般的には尿蛋白量は1g/gCr以下と糖尿病腎症と比較すると少ないことが多い(高齢化に伴い急増中・第2位)。

  • 慢性糸球体腎炎(IgA腎症など): 免疫の異常で腎臓のフィルターに炎症が起き、蛋白尿や顕微鏡的血尿が尿検査で検出される。腎生検を行うことで診断がつく(第3位)。

重症度判定(CGA分類)

国際的なガイドラインでは、原因(Cause)、腎機能(GFR区分 G1〜G5)、蛋白尿の程度(アルブミン尿区分 A1〜A3)の3つを掛け合わせてリスクを判定します。eGFRが保たれていても、「尿蛋白の量が多いほど、将来透析になったり心血管疾患で命を落とすリスクが高い」ことが分かっています。

4. 当院(西北診療所)での精密検査と腎保護治療(シスタチンC・尿沈渣・腎エコーRI測定・SGLT2阻害薬)

当院では、お体に負担をかけずに腎臓の状態を科学的・多角的に調べます。

  • 血液検査

    • クレアチニン・eGFR: 一般的な指標ですが、筋肉量や運動量に左右されやすい特徴があります。

    • 血清シスタチンC・eGFRcys: 筋肉量に影響されない高精度マーカー。高齢者、女性、やせ型の方、筋肉質のスポーツ愛好家でも「真の腎機能」を正確に評価できます。

    • 電解質(カリウム、ナトリウム、カルシウム、リン)、貧血、尿酸値、血糖・HbA1c。

  • 詳細な尿検査・外注尿沈渣

    • 尿蛋白定量 / 尿中微量アルブミン定量: 腎障害の最も初期のサインをミリグラム単位で正確に測定。

    • 外注尿沈渣: 顕微鏡で赤血球円柱、顆粒円柱、上皮細胞を観察し、糸球体腎炎の種類や活動性を推測。

  • 腎臓超音波(エコー)検査 痛みを伴わずに腎臓の大きさ、萎縮度、皮質の厚みや白さ(線維化)、水腎症や結石の有無をリアルタイム観察。

    • パルスドプラを用いて腎血流および腎血管抵抗(RI値:Resistive Index)を測定し、腎予後と全身の血管障害の進行の予防を精密評価。

  • エビデンスに基づく最新の腎保護薬物療法

    • SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン等): 腎臓の糸球体内圧を下げ、尿蛋白を減らして腎機能の低下を食い止める最新の標準治療薬。

    • RAS阻害薬(ARB / ACE阻害薬): 腎臓の血管を広げて血圧を下げ、尿蛋白を強力に減少させる。

    • 非ステロイド型選択的MRA(フィネレノン): 腎臓の炎症や線維化を抑える最新治療薬。

  • 腎臓専門医による食事・生活習慣指導

    • 「1日塩分6g未満」の徹底した減塩指導: 減塩は腎保護薬と同等以上の強力な腎機能保護効果を発揮します。

    • タンパク質摂取の適正化、適切な水分摂取、禁煙指導。

5. よくある質問(FAQ)

  • Q1. 健診で「eGFRが50台」と言われました。すぐに人工透析になってしまうのですか?

    • A. いいえ、すぐ透析になるわけではありません。 eGFR 50台は「軽度〜中等度の低下(G3a期)」にあたり、適切な治療と減塩を行えば、その数値を何年も維持して生涯透析を受けずに過ごせる方がたくさんいらっしゃいます。最も危険なのは「まだ大丈夫だろう」と放置して気付かないうちに30未満、15未満へと悪化させてしまうことです。早めに対策を始めましょう。

  • Q2. クレアチニンとシスタチンCはどう違うのですか?

    • A. クレアチニンは筋肉から出る老廃物であるため、「筋肉量が多い人は見かけ上悪く(高く)出やすく、筋肉量が少ない高齢者や女性はやせ型だと本当は腎臓が悪くても見かけ上良く(低く)出てしまう」という弱点があります。一方、「シスタチンC」は体中のすべての細胞で作られるため筋肉量の影響を一切受けず、真の腎機能を極めて正確に測定できます。当院では両方を測定して見落としを防ぎます。

  • Q3. 腎臓を綺麗にするために、水分はたくさん飲んだ方がいいですか?

    • A. 極端な水分の大量摂取はお勧めできません。 脱水は腎臓にダメージを与えるため「適度な水分補給(喉が渇かない程度)」は大切ですが、水分を何リットルもがぶ飲みしても腎臓が洗われて綺麗になるわけではありません。むしろ腎機能がかなり落ちている方が水を飲みすぎると、尿として排泄できずに体に水が溜まり、むくみや心不全、肺水腫を引き起こす危険があります。

  • Q4. 「減塩」が大事と言われますが、具体的にどうすればいいですか?

    • A. 腎臓病における減塩目標は「1日6g未満」です。具体的には「麺類のスープをすべて残す」「醤油やソースは直接かけずに小皿につける」「味噌汁は具だくさんにして1日1杯までにする」「ハムや練り物などの加工食品を控える」といった工夫が効果的です。薄味に慣れるために、レモンやゆず、お酢などの酸味や、生姜、スパイス、だしの旨味を活用するのがコツです。

  • Q5. 腎臓の数値は、一度悪くなったら二度と良くなりませんか?

    • A. 慢性的に硬くなってしまった腎臓の組織(線維化)を完全に元通りにするのは難しいのが現状です。しかし、脱水や降圧薬の一時的な影響、高血糖による負担などが原因で一時的に下がっている場合は、治療によって数値が改善することがあります。また、完全に元に戻らなくても「現在の数値を維持し、透析への進行をストップさせること」が現在の最新治療では十分に可能です。

  • Q6. 健診の尿検査で「蛋白マイナス(異常なし)」なら、腎臓は絶対に安心ですか?

A. 必ずしも安心とは言い切れません。 高血圧による「腎硬化症」などでは、尿蛋白がほとんど出ないままeGFR(腎機能)だけがじわじわ低下していくタイプがあるからです。また、一般的な尿定性検査の試験紙では、ごく初期の「微量アルブミン尿」を検出できません。尿蛋白がマイナスでも、eGFRの数値が落ちている場合や生活習慣病がある場合は専門医での精査が必要です。

  • Q7. 腎臓が悪いと言われましたが、今飲んでいる薬はこのまま続けてもいいでしょうか?
      • A. 自己判断で中止せず、必ずご相談ください。但し腎機能の低下度合いによっては、体内に薬が蓄積して思わぬ副作用を起こすため「減量が必要な薬剤」や、腎臓に負担をかけるため「中止や変更が必要な薬剤」が多数あります。 当院では、お薬手帳やマイナンバーカードの保険証利用(マイナ保険証)による認証でこれまでの正確な処方情報を確認し、現在の腎機能に合わせた安全な用量調整を行います。受診の際はお薬手帳またはマイナンバーカードを必ずお持ちください。

6. まとめ:危険な症状と当院の対応(高度医療機関連携)

  • 慢性腎臓病(CKD)は自覚症状がないまま進行するため、健診での尿蛋白やeGFR低下を放置せず早期に受診することが大切です。

  • 当院ではシスタチンC採血、尿蛋白・外注による尿沈渣、腎エコーRI測定、SGLT2阻害薬等の最新薬物治療を一貫して行います。

  • 「足のすねや顔がパンパンにむくみ、押すと指の跡が深く残る」「尿の泡立ちが数分経っても全く消えない」「急激に尿の量が減った」「少し動いただけで息切れがして横になると苦しい(心不全の兆候)」「体が鉛のように重く、強いだるさや食欲不振がある(尿毒症の兆候)」といった症状がある場合は、腎機能が著しく悪化している危険なサインです。

  • 急速に進行する腎障害、ステロイドパルス療法が必要な腎炎、確定診断のための「腎生検(入院検査)」や末期腎不全に伴う血液透析・腹膜透析の導入準備が必要と判断した場合は、国立国際医療研究センター病院、東京山手メディカルセンターなどの提携高度専門医療機関・腎臓内科へ直ちに責任を持って紹介・連携手配を行います。

7. 受診方法・予約方法について

当院では、患者様のご都合に合わせて受診していただけるよう、以下の体制を整えております。

  • ① 予約なし(一般診療・慢性疾患)

    • 直接ご来院いただけます。 受付にて順番の記載された「ナンバープレート」をお渡しいたしますので、番号順にお呼び出しいたします。健診結果で腎臓の数値を指摘された際や、尿の異常が気になる時はいつでもお越しください。

  • ② 電話予約(発熱外来専用)

    • 現在、発熱外来(2〜3日以内に発熱があったか、風邪症状があった方が対象)でのみお電話での事前予約を受け付けております。 院内感染を防ぐため、一般の患者様とは時間とお部屋を分け、専用の診察室(隔離室)にご案内して診療を行っております。

  • ③ WEB予約

    • 現在準備中であり、今年度内での運用開始を予定しております。 オンラインでいつでも簡単にご予約いただける体制を整えておりますので、運用が開始となりましたら院内掲示やホームページ等で改めてお知らせいたします。

8. 監修者情報

監修 西北診療所 院長 羽田野 実(腎臓専門医・総合内科専門医)

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